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2006年03月31日

戦争における「人殺し」の心理学

戦争における「人殺し」の心理学
作者: デーヴ・グロスマン
訳:安原和見
出版社/メーカー: ちくま学芸文庫
発売日: 2004/5/10
メディア: 単行本

人間は生得的に同種を殺すことに嫌悪感があるため、軍は発砲率を上げるのに研究をしていた。その結果、第二次大戦時の15~20%が朝鮮戦争は50%、ベトナム戦争では90~95%にまであがった。しかしベトナム戦争では兵士に対して冷却期間や殺しの合理化のプロセスをうまく与えることが出来ず、PTSDを起こす確率が高まった。

てな話で発砲率を上げる現代的な訓練方法や、具体的な殺人の合理化のプロセスを説明しています。以下気になったところを適当に列挙。

・人間は生得的に殺人が出来ない。だが2%の人間は罪悪感を感じることなく人を殺せる。軍隊内では3%~4%おり、彼らはソシオパス(社会病理患者)ではない。政治的・社会的正義が名目があるから出来ることであり、根っからの犯罪者というわけではない。程度の問題。(※パーセンテージはうろ覚え。)

・マフィアでも目隠しや被り物をさせたり、後ろを向かせてから処刑する方法をとっているが、これも罪悪感を軽減させている。

・上官の命令には行為者が複数いるために責任の分散が行われ、殺人を行いやすくしている。

・責任の分散は社会的にも認知されており、例えば助けを求める場合はみんなに助けを求めるのではなく、誰かを指定して助けを求めると効果的。

・降伏した相手は殺してはならない。降伏しても殺すという情報が敵方に流れれば、相手は徹底抗戦で挑むので返って手こずることになるし、何より相手方にいる仲間の捕虜を危険に晒すことになる。

・脱感作とオペラント条件付により発砲率は上がる。脱感作とは相手をヒトとみなさない思想のこと。サルとかジャップとか。オペラント条件付は訓練方法を「射撃場で丸い的を打つ」訓練から、「実践に近い地形で人形を的にする」訓練に変えたこと。

・凱旋パレードは兵士の殺人を合理化(正当化)するプロセスとして、重要な意味がある。

・現代的な訓練を受けた兵士は、伝統的な訓練を受けた兵士より約20倍の能力差がある。例としてローデシア戦争、アメリカ軍のソマリアでの作戦。


感想
この本を読んだ後だと第二次世界大戦を題材にした映画にすごく違和感を感じる。映画では撃つのを怖がっているのは新兵ぐらいだけども、実際は全然違っているのだから。逆にこの部隊の殆どはわざとはずして撃っているが、一人だけ例の3~4%の人間がいて、そいつが敵の大多数を処理してると考えると面白いかもしれない。戦争映画で犯人当て。

兵士の3~4%が罪悪感を感じない人間だというのは、他の戦争関連書籍にも書いてあったので軍隊関係者なら誰でも知っている事実なのだろう。戦争とはいえ人を殺したことに一生の罪悪感を背負う可能性を考えると、その3%の人間は幸せだと思う。

Posted by kaionji at 2006年03月31日 01:46 | [ Book ]
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